2020年10月29日木曜日

フィフス・ウェイブ

フィフス・ウェイブ [Blu-ray]

☆☆☆☆
~こんなヒット・ガール見たくなかった~


 2016年アメリカ。竜頭蛇尾のSFドラマ。
 

 突如上空に現れた巨大な宇宙船。いつかしらアザースと呼ばれるようになったその存在は、特に何をするでもなく地球を周回。その風景は意味の分からぬまま日常に溶け込もうとしていたが、その安寧はある日突然終わりを告げる。
 宇宙船が電子パルスを照射。地球上のほとんど全ての電子機器が使用不能となり、人類は混乱の只中にたたき落とされる。これを第一の攻撃、ファースト・ウェイブとし、その後も全地球規模の波状攻撃が繰り返される。――それでも人間はコミュニティをつくり、力を合わせてなんとか生き残ろうとする。
 そんな人類を殲滅するためにアザーズがとった第五の攻撃、フィフス・ウェイブとは――。
 
 特に関係がないようだが、ディズニーチャンネルで放映されるティーンを主役とした青春ドラマ(映画)に雰囲気が非常に似ている。日本でいうアイドル映画のようなもので、どこか割り切ったクオリティと内容
 序盤は丁寧な絵作りと派手ではないが気の配られた綺麗な映像で期待が高まったが、中盤以降は何かあきらめたようなぞんざいさ。終盤などはこれまで積み上げた設定や感情を投げ捨ててともかく一区切りをつけて終わり。スケールもどんどん小さくなっていき、まさに内容も規模も竜頭蛇尾。

 ともかく「第五の攻撃」が何なのかというのが作品全体を支えるギミックとなっているが、これがうまく働いていない。普通に見ていると中盤で十分予想できてしまうオチで、自分の洞察がすぐれているなどではなく表現として明らかにそう示されているのだ。例えばどこか怪しく見える軍隊の行う虐殺。アザースに寄生された人間の透過映像のチープさ(他のクオリティと比しても確実に程度が低く意図的としか思えない)。
 見え見えの設定を映画の中では予想も付かないこととして扱っており、正直辟易する。
 
 主人公が女子高校生で、彼女のサバイバルが一軸となっているが、どうにも判断がおかしい。いちいち「それはちゃうやろ」という判断、行動に出て見ている方は困惑し、やがて苛立ってくる。有り体に言えばバカ女の諸言動に振り回される童貞男という展開なのだ。コメディでなく真面目にこれをやるのだからつき合っていられない。


 残念ながら演じているのがクロエ・グレース・モレッツ。彼女は幼少期に「キック・アス」で生意気ながらも切れのある子供ヒーロー役を演じて人気を博したが、今作の彼女は残念ながら何の魅力もない元人気子役といった風情。生意気な役どころにキック・アスの人気再びを狙っての起用かもしれないが、幼さというフィルタがなくなるとその言動はただの「嫌な人間」になってしまっており、大失敗だ。

 

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