★★★★☆
~道具と舞台と映像と~
1996年の米映画。往年のテレビシリーズ「スパイ大作戦」を映画化し世界的大ヒット。シリーズ化を確定させた。万人にお勧めできるスパイアクション映画の金字塔。
主役イーサン・ハントを演じる「トム・クルーズ」は昨今プロデューサーとしての活動も盛んだが、今作がプロデューサーデビューの作品でもあった。
IMF(Impossible Missions Force、不可能作戦部隊)に所属するイーサンは指揮官であるジムを中心としたチームで着実な成果をあげる敏腕工作員。今回の任務も困難性をクリアして成功寸前に至るが不測の自体が起こりチームが壊滅。。生き残ったことで裏切り者の汚名を着せられることになったイーサンはからくも元仲間達の包囲を脱出。同じく生き残ったクレアと共にチームを壊滅させた謎の人物を追って活動を開始した――。
現在(2019年)に至るまでトップスターの地位を守り続けるトム・クルーズ。つまりずっと顔を見る機会に恵まれているわけだが、20年以上前の彼はとにかく若い! M:I
シリーズは2018年で6作目までリリースされており、そのすべてで彼はハードなアクションを自演して関係者をやきもきさせている。この作品時点で30代前半の計算だが、とてもそうは見えない切れの良いアクションと肌の張り、そしてきらめく笑顔! やっぱりトムはスターだ。
今見るとスパイの秘密道具が古くさかったりするが、冒頭でテレビシリーズをイメージさせて接続をとると共に、本作のリアリティラインを端的に示してくれるので、こういう映画なんだとはっきり分かって非常に見やすい。話の進展がテンポ良く、見所となる映像を良いタイミングで挟み込んでくるため、展開に疑問を差しはさむ前に次の興味に引っ張られてしまう。これはテクニックだ。うまい。
見所シーンは今でも古びていない。巨大水槽が破壊されてあふれ出す水流。超特急を舞台としたアクション。中でもやはりこれというシーンは天井からつり下げられたイーサンが床すれすれで体を大の字に伸ばすシーン。これなどもうシリーズのアイコンといっていい名シーンだろう。
「最新スパイ道具」「ゴージャスな舞台」「とんでもない映像」をトム・クルーズの包容力でギュッとまとめたこのシリーズ。続編でも着実に時代を取り入れ、各要素に磨きをかけて新規性を保っている。シリーズでも2作目程度で失速する映画がほとんどなのに、6作目まできっちり魅力を保っているのは、この根本部分のクオリティを守り抜いているため。監督がころころ変わっている中プロデューサーを貫徹しているトムの力は大きいのかもしれない。
冷徹な印象のカット割りと時に現れるねちっこいカットの対比が非常に映画的なのはブライアン・デ・パルマ監督の真骨頂というところか。
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