~だまし絵のようなタイムリープ~
★★☆☆☆
2016年のハンガリー映画。日本では劇場未公開なので情報が少ないが、ネット配信されているので視聴者はそこそこ居る模様。
病院からの薬品横流し運搬役のアダム。ボスを裏切って薬品を横取り、高飛びして大金を稼ごうと画策するが、恋人アンナはそれを拒む。
動き出した計画とアンナとの狭間で懊悩するアダムは1本のビデオを手に入れる。そこにはボスに銃殺される自分の姿が映っていた――。
~だまし絵のようなタイムリープ~
★★☆☆☆
2016年のハンガリー映画。日本では劇場未公開なので情報が少ないが、ネット配信されているので視聴者はそこそこ居る模様。
病院からの薬品横流し運搬役のアダム。ボスを裏切って薬品を横取り、高飛びして大金を稼ごうと画策するが、恋人アンナはそれを拒む。
動き出した計画とアンナとの狭間で懊悩するアダムは1本のビデオを手に入れる。そこにはボスに銃殺される自分の姿が映っていた――。
~アメナーバル監督の真骨頂~
★★★★☆
2015年。アメリカ・カナダ・スペインの映画。スペインは珍しいなと思うがそれは監督がスペインが誇るアレハンドロ・アメナーバルなのだからしかり。
自分はアメナーバル監督の作品が好きである。初めて出会ったのが長編デビューの『テシス』。続く『オープン・ユア・アイズ』と『アザーズ』まではサスペンス映画であり自分にとっては打率10割。続く『地獄からの手紙』では文芸調になり、『アレクサンドリア』は歴史スペクタクル。どんなジャンルでもかっちりと高いクオリティを維持するその手腕に感嘆するが、自分はサスペンスのアメナーバル監督が一番好きだ。
そして『リグレッション』。久々のサスペンスである。ちらちらと前評判を見るとあまり好意的な意見が無いようだったので見るのが怖く、なんだかんだと後回しにしていたのだが、とうとう機会を得て鑑賞した。
1990年。アメリカでは悪魔崇拝者による儀式的虐待や殺人の暴露が社会秩序を揺るがす大きな問題となっていた。
ミネソタ州の刑事ケナー(イーサン・ホーク)は17才の少女アンジェラ(エマ・ワトソン)による父親の虐待告発を担当。その陰惨な内容はまさに悪魔的な儀式の様相を呈していたが告発された父親にはその記憶が残っていない。優秀な心理学者レインズによる退行催眠によって引き出された証言には、同僚の警察官ジョージの関与が示唆されていた――。
~寓意を優先しすぎてる~
★★☆☆☆
2013年のSF寓話映画。アメリカ合衆国・フランス・韓国製作。監督は『パラサイト』でアカデミー賞を取ったポン・ジュノ。
2031年。世界は地球温暖化を食い止めるべく散布された化学薬品CW-7によってすべての陸地が雪と氷に覆われ、極寒に耐えられない生物は死に絶えてしまった。生き残ったわずかな人類は永久機関によって動き続ける列車「スノーピアサー」の内部にて暮らしていたが、そこでは前方車両に住む富裕層がすべてを支配し、最後尾に住む貧困層は奴隷同然の扱いを受けていた。そんな中、貧困階級のカーティスは自分たちを苦しめる理不尽な支配に立ち向かうべく、仲間と共に反乱を企てる。 <WIKIPEDIAより>物語を楽しんでもらうことではなく、寓意を押し付けるのが目的になってしまっている印象。そのためエンターテインメントとしてバランスを崩してしまっており寓意の先に思いを馳せることは出来ても、おもしろい映画とはとても言えない。
◆◆◆300回目のご挨拶◆◆◆
この投稿がこのブログの300目の記事となります。
まだ300かという気も、結構書いたなという気も。
このようなwebの端っこの文章を読んでくださる方、本当にありがとうございます。これからも継続して行きたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。
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~狂気を引き寄せる呪われた作品~
★☆☆☆☆
2020年のワンクールアニメシリーズ。全12話。「KLab」がサービスしていた(2021年にサービス終了)スマホゲームを原作としている。「禍つ」は「まがつ」と読む。「ZUERST」はドイツ語で「最初の」を意味する模様。英語の「fast」かな。どうやらゲームの前日談を描いているらしい。
自動車と魔法、重火器と剣、謎のモンスターと人々を死に至らしめる「フリーレンの炎」という災害が存在する世界。
帝国議会は治安維持のため武器の民間への供給を違法化。だがモンスターに対抗するためには武器が必要であり、武器密輸組織が結成されることになる。帝国軍人としての一歩を踏み出したレオカディオは偶然輸送業で働くイヌマエルと知り合う。イヌマエルは実直な労働者であったが密輸組織の手違いに巻き込まれ、お尋ね者になってしまう。
序盤あらすじを書きながら、その行為に虚無を感じている。
映像として生まれたからには、誰が、どこで、何をしたのかは伝わらなければならないが、本作にはそれが欠けている。何となく誰かが、おそらくそのあたりで、こういったことをしたのだろう。そういったあやふやな状態が徹頭徹尾継続され、確かに何かが起こっているのだが、何かはよく分からないま全12話を終えることとなる。
人をいらつかせる手法として、意味の分からない言葉をまくし立てるというものがあるらしい。捕虜となった特殊部隊員は、なにがしかの言語に聞こえる無意味な音声を発し続けて取調官を挑発、情報取得を困難にさせるというのだ。意味のない言葉だと判断しても、人間の脳はそれを解読しようと働いてしまい、思考を圧迫していくのだろう。本作は、まさにそれである。
きちんと鑑賞したら、頭がおかしくなる作品。
呪われた作品だといって良いかもしれない。
そんな作品を、なぜ自分は最後まで見たのか?
★★★☆☆
~実写の思いもよらぬ効果~
まずはあらすじ。
※小一息子の感想(聞きとり筆記)
トムとジェリーは町に出かけて、けどいつものけんかで世界が注目した結婚パーティーを破壊してしまった。そして、タッグを組むことになったトムとジェリーはまずはお嫁さんを連れ戻しに行き、ペットの猫をつかって結婚式のある場所に、そしてエンディングで、その後に少しシリーズが続いた。そしておわり。
トムが飛んで落ちたところがおもしろかった。トムはちょっと詰めが甘かった。二人が結婚できて良かった。
改めて読んでみるときっちりポイントをつかんでおり、長い映画を見られるようになったんだなあと感心してしまう。(親ばか)
2021年の米コメディ映画。トムとジェリーは自分も子供の頃から見ていたし、息子がもっと小さい頃から、今に至るも放送している。何と息の長く、普遍的なコンテンツなんだろう。息子と一緒にテレビのトムとジェリーを見ていて改めてそのクオリティの高さに驚いた。
★★★☆☆
~三話目だけ違和感が強い~
2020年に放送されたテレビドラマ。『荒木飛呂彦』氏の人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の第四部に出てくる「岸部露伴」というキャラクターのスピンオフ漫画、ならびに小説が原作であり、なかなか深層化している。
岸部露伴は人気漫画家という設定で、創作活動に身を捧げる奇人変人となっている。多数の特徴的なキャラクターが並び立つジョジョシリーズの中でも際立ってキャラクターが立っており、様々な物語に接続しやすい立場(「漫画の取材」で事足りる)もあって案内役としてぴったりである。
人気漫画家である岸部露伴は特殊な能力を持っている。ヘブンズドアーと名付けたそれは、人の体を本のように変質させ、ページをめくってその者の歴史、経験を読むことが出来た。
「リアリティのある漫画」に身命を賭す彼のもとには様々な奇妙な案件が舞い込む。漫画の題材とするため、露伴は奇妙な冒険を繰り返していく――。
荒木氏の漫画は実にファッショナブルであり、キャラクターたちの服装やポーズが非常に「いかれて」いる。たとえば第四部は高校生たちが主軸となる章なのだが、学生服のバリエーションがすさまじい。刺繍や切れ込み、アクセサリーをちりばめ、実用的ではないがファッションショーの衣装のようにきらびやか。漫画の中の決めポーズもモデルのポートレイトのように腕を交差し、体をねじり、躍動感あふれる物となっている。
実写化と聞いてまず心配になるのはこの特殊なビジュアルがどう再現されるのかということだが、このテレビドラマは非常に上手い塩梅でこれをクリアしている。ファッションもポーズも原作の雰囲気を反映させた上で、動画として、実写として許される範囲にとどめている。さらにヘブンズドアーの能力も実写として違和感のない表現に落とし込んでいる。この時点で賞賛に値する。