2020年5月28日木曜日

逆襲のシャア

 

 ★★★★
~望んでいた物語~
※2008年の感想の調整版です。

 機動戦士ガンダムのライバルキャラクター、アムロとシャアの決着を描いた劇場版。

 短い尺の中にぎっしり要素を詰め込んだ、月餅のような物語。
 シリーズ第一作「機動戦士ガンダム」に歓喜したファンは続編シリーズ「機動戦士Zガンダム」に少なからぬ失望を覚えた。ヒーローであったアムロとシャアが、社会の常識に押し潰され、窒息しそうになっていたからである。

 今になって考えてみれば、あれほどの事を成し遂げた人物が、その後も自由に生活できるはずはないだろうと想像できる。世の中から無責任な関心を寄せられ、また、自分の言動の影響の大きさを認識した人物が、どうにも煮え切らない生活を送っているのはありえることだ。そういったしがらみに捕まった「大人」を尻目に新たな主人公が情熱で駆け抜けて行く、という構成なのだろう。だが、かつてのヒーローの情けない姿を見るのはファンにとってうれしいはずもなく、見たかった続編はあのような物ではなかったのだ。

 そこに、この逆襲のシャアである。

 Zの流れを引き継ぎつつ、葛藤を乗り越えて再び自分に立ち戻った二人のライバルが、卑怯や弱さを包含した大人として、対峙しなおしている。
 シャアの野望を食い止めようと立ちはだかるアムロ。それぞれに正義があり、悪がある。これぞ大人の戦いだ。

 この物語にも、当然この時代の若者が登場する。が、それは二人のヒーローを揺るがすことは出来ない。事情を理解しきれぬまま、決めつけの狭小な自意識でヒーローにちょっかいをだす、邪魔な存在として描かれている。(少なくともそう感じてしまう)
 大人は大人の立場で、子供の小賢しさを無視するのだ。Zとは異なるこの態度が、とても頼もしい。

 そのような二人の戦いは、まさにこれが見たかったと体震えるものだ。今だに共通の女性に心捕われている姿は、情けなくもあり、切なくもあり。だが、そういう二人が、僕は(おそらく僕ら、は)好きなのだ。

 ラストをファンタジー気味に強引にまとめるのは賛否あるだろうが、世紀のヒーローの結末としては、華やかでいいのかもしれない。

 見直してやはり思うのは、

 ・シャアのロリコンが、全ての元凶
 ・チェーンかわいい

 そして、平民代表ブライトさんがシャアに言わせた言葉、
「やるな。ブライト」
が心に残る。

0 件のコメント:

コメントを投稿