★★★★★
~松たか子がすごい~
湊かなえの原作小説を、中島哲也監督が映像化。原作は未読。関連情報はCM以外無しという状況での鑑賞。
非常に刺激的で、熱中度の高い作品。
中学校女性教師の幼い娘が学校内で事故死。
その真相と原因と復讐が関係者の告白によって描かれる。
ともかく女教師の松たか子が良い。
冒頭、とうとうと告白を続ける女教師の緊迫した、達観した空気。これだけで見る価値がある。言葉の速度、強さ、細かなニュアンスが見る者の興味を惹いて放さない。本来の女優とは、プロの演技とは、このような強い吸引力を持つものなのだ。
松たか子が良すぎるが故に、彼女以外の要素が厳しいとも感じる。特に中学校の生徒が演じる部分は驚くほど空気が緩む。張り詰めた場面であるのに、どこが気が抜けているのだ。冷静に考えれば彼、彼女はよくやっている、高いレベルの子役だろう。だが、同じ作品内に同居されると、どうしてもその差異が目立ってしまうのだ。
映像的にも面白い。
監督の中島哲也はサッポロビールのCM「温泉卓球」シリーズや、「下妻物語」「嫌われ松子の一生」でストップモーションやCG合成、恣意的なアングルによる特異な映像表現を行ってきた。
他の作品ではけれんみが強すぎて作品と融和していないように感じたが、今作でもそれら手法は使用しつつ、作品に合う押さえた形に押さえている。緊迫した空気を茶化すことなく、日常風景におり混ざる違和感を映像として感じさせる事に成功。また、独白部分が多く映像的な見栄えの作りにくい画面に十分な魅力を与えている。
特に映画最後のもっとも力の入ったCG表現は、描こうとしたイメージと作品の中での意味、登場人物の心情が一体となり、心に深く残った。
しかし、もう一度みたいかといえば、そうでもない。
情報のない形で鑑賞できた初回に比べ、見返した時は数多くのアラが見えてしまいそうだからだ。だから、自分と同様に今作についての情報が少ない人ほど、ぜひ、そのままの状態で鑑賞してみて欲しい。
ともかく心揺さぶられることは、保証する。
松たか子の最後の台詞。そのまた最後の一言。
その一言の恐ろしさ。
それこそが、最大の「告白」だったと感じる。
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