2010年6月6日日曜日

タイタンの戦い

 
★★☆☆☆
~誉めにくい作品~


ギリシャ神話、勇者ペルセウスの物語を映像化。
1981年の同名作品のリメイク。全作ではストップアニメーションで描かれた伝説の怪物達が、限界のないCG映像で表現される。
3D上映の劇場で鑑賞。

元々が神話。大きく改変する事もない忠実な展開のため、物語としてはかなり苦しい。ギリシャ神話は神々の人間くささが特徴だが、特にゼウスの色ボケ具合は閉口せざるを得ない奔放さ。全ての元凶の色ボケじじいが愛を口にしても失笑しか生まれない。
さておき映像はといえば、こちらも残念ながら昨今の目の肥えた観客には及第としか映らないだろう。部分部分で挙げれば、黄泉の渡し守の造形や、クラーケンの圧倒的な巨大感。かつて絶世の美女であったというメドゥーサに残ったその片鱗。みるべき部分も多々あるが全体の印象を覆すほどの力はない。

ならば3D映像としてはどうなのかといえば、見づらいの一言。シャッター式グラスの明度低下を意に介さない暗い画面の多さ。バタバタとカメラのそばで大いそがしするアクションシーン。(3D映像は目前の大きな動きが理解しづらいのではと思う)
通常のバストショットも、人物の輪郭部分に間延びするような妙な立体感があり、質の悪さを感じさせる

およそ3Dを意識しないで作られているかのように感じたが、それもそのはずで、なんとこの映画は平面映画として作られたものを、完成後にデジタル処理で3D化したものだということだ。至極納得したが、後付けの立体化はやはり違和感が強いのだとつくづく感じた。それでも3D化したのは、興行収入の為なのか、監督の要望なのか……。みる方にとってはネイティブ3Dと価格が同じなのだからどうもだまされた気分になる。

今作は一部で張られたポスターに漫画家の車田雅美のイラストが採用されている。一世を風靡した彼の作品、聖闘士聖矢(セイントセイヤ)のイマジネーションが監督に大きく影響しているとのことで、恋われての採用ということである。作中、オリュンポスの神々が光の煌(きら)めく鎧を身にまとっているのもその影響らしい。
第九地区で日本アニメ、マクロスのミサイル表現が模倣されたことといい、世界中の若手監督がどこかで日本のアニメ、漫画の薫陶を受けて育った時代なのかも知れない。

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