2010年6月6日日曜日

夢のチョコレート工場

~これが一作目~
★★☆☆☆

深夜にひっそりと放送されていたのは、ジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督の「チャーリーとチョコレート工場」ではなく、1971年に制作されたメル・スチュワート監督の「夢のチョコレート工場」。
どちらも原作は児童小説「チョコレート工場の秘密」なので、ティム・バートン監督の作品はリメークと言える。ティム版がテレビ放映されるのにあわせて一作目が深夜放送されたらしい。

ティム版が猛然と世の話題をさらったときも、一作目があったと聞いた覚えはない。ただの古びれたしようもない映画なのだろうと思いつつ眺めていたが、予想に反してなかなかに楽しい。
特にチョコレート工場にたどり着くまでのくだりが、名作劇場的な地に足のついた絵づくりで好感を持った。ティム版も古びた建物の並ぶ町並みを再現していたが、現代的な要素も持ち込んでおり、どうもすわりが悪い。前作はそのまま1970年代の雰囲気(なのかな? とにかくいい具合に古くさい)。チョコレートに夢中になり、夢馳せる子供達の姿は昔の風景の方がしっくりくるだろう。
工場主はジョニー・デップのように外見上の奇抜さや華やかさはないが、テンションの高いエネルギッシュな人物像という点で一致している。さらに工場を巡りながら見聞きするものの感触は両者とも大差がない。

ただ、特撮部分が厳しいのは確かだ。
チョコレート工場のイマジネーション溢れる部屋の数々。描こうとしているイメージは伝わってくるのだが、魔法の域に達したCGと特殊効果の生む昨今の映像と比べれば、どうしてもあらが見える。それがにじみ出している懐かしい空気も悪くないが、これは本来の楽しみ方ではない気もするし……。
時代を差し引いてみることが出来るとすれば、錯覚の利用、奇抜でどぎつい色彩が生むめまいのような感触など、大胆な映像手法もちいて一定の効果をあげているのは評価すべきだろう。

映像化の筋道を立てたのが今作で、それを時代に合わせてしっかり積み上げたのがティム版ということなのだろう。

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