2022年10月29日土曜日

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray] 

★★☆☆☆
~ヤンキーバディのロマンス映画~

 2021年の米映画。ソニー系のMARVEL映画。2018年に公開された一作目を引き継いだ続編。
 記者のエディとそれに寄生した宇宙生命体ヴェノムが、ほかの宇宙生命体と戦いを繰り広げるアクション映画。
 アクション映画ではあるのだが、ヴェノム達が基本的に食人宇宙人であるため、スプラッター色が強い。エディとヴェノムは悪人のみ懲らしめて食べる、という線引きでがんばっている。
 
 前作は息子(当時5才)の実写洋画デビューとして映画館で見たのだが、人間の頭丸かぶりシーンなど残酷シーンが頻出。息子は映画館の膝掛けを頭から被って隙間から見るという状態で、未だに「あれは怖かった……」とトラウマになっている。どう考えても自分のチョイス間違いで、息子には申し訳ない。ネットのレビューで「寄生獣のようなバディもの」というのを見かけたので、それなら大丈夫かなと思ったのだが、そもそも寄生獣のグロさを見誤っているよ!

 そんなこともあり今作は一人で見たが、前提があまりにも異なる二人がお互いの理解を深めて、妥協点を見いだしていくという内容。これをアクションとスプラッターで描いており、見た目に反して優等生な筋書きといって良いかも。ただヴェノムがえらく「馬鹿だけど仲間思いのヤンキー」になっておりその表現もつたない。敵役にもそれなりの悪役になった理由があるのだが、起こした事件と釣り合うはずもなく、懲悪されても心が痛まないのはすがすがしい。

 見所は超人的なアクションなのだが、薄暗い中で暗めのキャラクターが高速で動くシーンが多く、状況の把握が難しい。映画館での視聴ならばもっと違った印象になったかも知れないが、適当な液晶テレビでは感銘を受けにくい。
 
 それよりも登場人物に感じる親近感がこの映画の特徴なのではないか。

 誰も大上段に使命を振り上げず、自己欲求と少し外側の自分の大切な人だけのために行動する等身大な感じが良い。特に主人公の元彼女アンが現在婚約中のダンが全編にわたり良い。要所要所でちょっと関わってきて、倫理観の許す範囲、自分の出来る範囲でアンやその元彼(エディ)を手助けしてくれる。この好人物に対してアンはまあ真摯と言ってよく、元彼エディにはきちんと男女の関係を終わらせた上で、友情でもって関わり、ダンを裏切ることはない。
 サム・ライミ版スパイダーマンなどはヒーローもヒロインも恋愛においてはふらふらしまくって感情移入しがたい内容だったが、その点こちらは実に良いあんばい。恋愛関係はストーリーの端っこであり、バディ二人の関係性がある意味ヒーローヒロインのやりとりなのだ。
 
 なるほど、この作品、エディとヴェノムがヒーロー&ヒロイン(どちらがどちらという決まりはない)と捉えると、その他の要素のバランスが綺麗にとれており、ラストが二人の浜辺というのもああ納得。


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