★★☆☆☆
~序盤がピーク~
●良いところ
・なかなか目に触れないロシア産SF
基本的な感性、風景が新鮮に感じられる。
・序盤のサスペンス感
主人公がそれまでの生活を徐々に喪失していく恐怖。先の読めない不安感。
・記憶に残るイマジネーション
ロシア映画だからというだけでは収まらないであろう、斬新なイメージ。
見たら焼き付くマトリョーシカ。透明になっていく人体の映像。
石油が無いため、蒸気機関主体で発達した世界。
・シーン毎ののまとまり
大体日付単位で区切られており、それぞれがすっぱり独立していてる。
平行世界を舞台にしているので世界観もガラッと異なり、短編集のように楽しむことができる。
・牢獄世界の女獄長が強烈
見れば納得。
○悪いところ
・話がわかりにくい
一人の女性を、平行世界を移動しながら求めつづけるという本筋はシンプル。
各章に区切られたエピソードの、それぞれはまとまっているのだが、すべてを一つの作品としてつなげて理解しようとすると途端にわけが分からなくなくなる。
各章を繋ぐ展開がいちいちひっかかる。何故それを受け入れることができるのか、何故その選択をするのか。別の機械の部品が、無神経にひとまとめに放り込まれているようなちぐはぐな印象。
冒頭が回想形式になっているのもあまり効果的に感じられず、複雑な印象を与えるのみ。複数の勢力が出てくるが、それぞれの目的や理念が分からず、誰に肩入れしていいのか分からないのも見ていてつらい。制作者の演出意図に沿って理解するのが難しい。
・見終わった後の達成感が無い
話が進んだような進んでいないような尻すぼみの終劇。各章単位のクライマックスがあるのでそちらの印象の方が強い。
また、副題でうたっている世界の謎は、期待するほどのものではない。
・キャラクターを把握しづらい
似たような印象のキャラクターが多い上、平行世界で服装や人相がガラッと変わるので、誰が誰やら分からない。それをどんでん返しの一つとして用いているので意図的な部分もあるのだろうが、混乱のもと。
題名、副題と期待させない雰囲気からの序盤がピーク。
今後ロシア産映画が新しく制作され、それを観る機会は存在するのだろうか。
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