2018年9月20日木曜日

王様ゲーム

 
☆☆☆☆
~すごくバカバカしい~

金沢伸明による携帯小説のコミカライズを原作としたなっているワンクールのアニメ。
携帯小説とは携帯で書かれ、携帯で読まれるのが主体のweb小説総称。

高校のクラスメート全員に突如として送られた「王様」からのメール
誰と誰がセックスしろ、誰が誰を殴れ。――理不尽な命令が書き込まれており、制限時間内に従わないと「罰」として死ぬ。
無茶な命令と罰の死に方バリエーションが見どころ。

直近の事象しか(これもかろうじてだが)理屈が合わず、全体としては常に無茶な展開、設定が多い。
短いペースでショッキング(という設定)な展開が差しはさまれ、無理矢理次の展開に流れていく。
ベルトコンベアーに乗ったような、四コマまんがのような、NHK朝の連ドラのような内容。
本当に携帯で書かれていたのかどうかは知らないが、一ページ分の内容で勝負している(後は気にしない)感じはいかにも携帯小説のイメージ。
なんか色々後腐れが無く、軽い。刹那的。

自分は全話視聴したが、あまり前向きな心根の視聴ではなかったので、まだ見ていない人は、積極的にスルーした方が良い
ネタバレ含みで、きつかった点を上げてみる。

●泣きすぎ
サッカーまんがの「キャプテン翼」でよくネタにされるのが、カパッと口を開けたシーンが大半だという不自然さ。
「酸素足りん魚か!」とか言われる。
同様にこの作品では涙が滂沱として流れるシーンが非常に多い。印象としては誰かしらが常に号泣している
あまりに頻繁なので、定番のギャクネタとして面白くなってくるくらい。また泣いとるわ、と。


●あふれるドキュン感
「DQNとは軽率そうな者や実際にそうである者、粗暴そうな風貌をしている者や実際に粗暴な者かつ、
非常識で知識や知能が乏しい者を指すときに用いる」- ウィキペディア -

登場人物が全員この範疇に入る。
お互いに下の名前で呼び捨てにするのが基本。理論だった思考よりもその時の気分を重視
正論を言われると大声で叫び、滝のように泣きながら勢いだけで道理を無視する。
各キャラクターだけでなく、話の進み自体もドキュンな印象。
「メール」⇒「特に対策せず誰か死ぬ」⇒「友達が死んだんだぞ! と泣く」⇒「メール」……
これを延々続け、特に対策しない具合が凄まじい。
その時その時の一瞬のきらめきが大事で、前のことは忘れていく。


●予想できない展開
常識を無視して話が展開するので予測不可能。

「バッターがバットでピッチャーを殴って判定はホームラン。審判がビールの売り子に一点加点」する感じ。
※自分で書いておいて何だが、↑は今作の雰囲気をとても良く表せていると思う。
具体的には、
・水没した仲間を助けるために人工呼吸と心臓マッサージを、潜水したまま行う。
・全身炎まみれになったまま、パソコンをいじったり、普通にしゃべったりしたあと、きれいなまま死ぬ。パソコンもきれい。
・伝染病のウイルスが、いつの間にかネットに入ってウイルスになる。バグもある。
・数年間道の真ん中(屋根無い)にほったらかしにされた大学ノートが新品同然。
・遭難者もいる数時間の山道を、華奢な女子高生が男子高生の死体を引きずって移動させたあとラブシーン。 etc.


こんなのを大まじめでやるので、きっついギャグアニメの範疇に入ってくる。

●アニメの出来も厳しい
2017年のアニメであるが、画面、演出共にかなり厳しい。
「誰が何をしている」かがかろうじて分かるというレベルで、それ以上の積み上げはない。
王様のメールによる指示が重要で画面に映りはするが、時間が短く読めないため情報が常に足りない。
作中、何らかの物語的なトリックが展開されている節があるのだが、「よく分からない」ので、トリックの存在自体に気がつかないことが多い。
売りであろうショッキングなシーンは、絵のつたなさとぼかしが相まって、やはりギャグのようになっている。

そんななら見なければ良いのに、と言われると返す言葉も無い。
初めは面白かった、とかでは無く、初めからおかしい。見始めてすぐに感じた感想は、
「こんなレベルの作品を、地上波で流して良いんだろうか」
実際本当に「こんなんええんか……」と口をついて出ていた

どんどんむちゃくちゃになっていく展開と、くり返しのリズムで催眠術にかかったのかも知れない。
恐い物見たさのように次々と最終話まで見てしまった。結局謎も何も解明されず、描かれたことすべてが無駄。

なにに対してか、「ごめんなさい」と言いたい気持ち。

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