2018年9月14日金曜日

オデッセイ

オデッセイ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

★★☆☆☆

~意外とご都合アドベンチャー~

リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演のSF映画。
事故と不運によって火星に取り残された生物学者の奮闘を描く。

この監督・主演にしてみると、前宣伝も長くなくパッと登場してきた印象の映画。
メイキングを見るに様々な好機に恵まれ、トントン拍子に完成した映画らしい。
そうして考えてみると、舞台となる場面は少なく、室内も多い。コンパクトな映画なのかも知れない。

入ってくる情報からすれば、宇宙版ロビンソン・クルーソーであるが、あまりサバイバル日誌という感じではない。
何しろ肝心要の食糧の確保について、そうそうに目処をつけた後は問題が発生しても「強い意志による節約」で終わり
様々な状況に対処する能力と克己心をもつエリートが宇宙飛行士であるのだから、効率的な解が見つかったらそれに従うのみ。
ひとりぼっちの生活も、日々の労働も、ただ黙々と行う印象。
多分、リアルなのだろう。
だけど、冒険譚として物足りなく感じた。

乏しい食事をそれでも華やかにするために行う試行錯誤であるとか――。
狂いそうになる自我を保つための奇妙な行動であるとか――。

渇望する救援と長い時間にすりつぶされるような感触がまるで無い。
正しい行動を行うロボットのような印象。「キャストアウェイ」が愛おしく思える。

売りになっている科学的考証が、かなり恣意的だと感じる。
もとより話の突端である火星の大嵐。大気の薄い火星ではそれほどの脅威にはならないとの事だが、大嵐にしている。
それなのに、後半では大気の薄さを逆手にとった脱出作戦を組んでいる。
また、そもそも火星の重力は地球の40%らしいが、この表現は全編を通して無視している。

描く事の主軸で無いならそういった取捨選択はするべきだと思うが、科学的な検証を売りに出来る状態では無いなと感じる。
重力40%については、苦労と効果を天秤するとそりゃ無視するだろうと納得だが、何でもCGで可能に思われる映画の世界でも、やっぱり大変な事は大変だよなと改めて思えたのが目新しかった。

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