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★★★☆☆
~あれ? 傑作?~
2002年の米映画。主演は「プリティ・ウーマン」のリチャード・ギア。
プロフェシーは「予言」の事だが、謎の現象に巻き込まれた男のミステリー映画である。
記者であるジョンは妻メアリーと新居探しに行き、念願の大きな家の購入を決める。
幸せな気分でメアリーが運転する車での帰り道、何か恐ろしいものを見てハンドル操作を誤って事故を起こす。メアリーは入院生活のなか、奇妙な言葉やイラストを残した末に帰らぬ人となる。
2年後、一人になったジョンは夜中に車で走っていると、いつの間にかあり得ない距離を離れた街「ポイント・プレザント」に辿り着いていた。
車の故障に難儀して近くの民家に助けを求めるが、家主は銃を突きつけ、「お前の仕業か!」と詰めよる。
一体この町では何が起こっているのか――。
なんともあらすじの説明が難しい作品である。
安っぽいホラーのようであるが、リチャード・ギアの真剣な演技が映画の価値を支えていき、ついつい先が見たくなってしまう。
幽霊なのか、怪物なのか、狂人なのか、悪魔なのか、恐怖の対象がフワフワとよく分からないまま話が進み、そのまま終わる。普通なら何物でもない半端な映画という評価になりそうだが、今作はそのあやふやな位置取りこそが主眼とも言える作りになっており、見ている最中の観客の予測がことごとく覆され(無視され)るので常に頭が忙しい。
見終わった後は何とハートウォーミングドラマを見たかのような気分になっており、不思議とさわやかな気分になってしまう。
今作の題材となっているのは「モスマン」と呼ばれるUMA(未確認動物)で、「ポイント・プレザント」でさまざまな目撃例が出ているのも事実である。モスマンは翼のついた謎の人型生物で、一部のRPGやカードゲームで題材になる程度には知名度のあるモンスター(?)である。
普通にこれを題材にしたとすれば、ばかばかしい着ぐるみのオバケ屋敷ムービーになりそうなものを、衒学的にイメージを膨らませ、哲学的な領域まで持って行っているのはすごい閃きと力量だ。
最後の事故(事件)も実際に起こったことで、それまでの画面効果でごまかしていたような演出を使わず、高いクオリティできっちり映像化したのもうまい。
掘り出し物というか、こういう描き方があるのだなあと感銘を受けた一作。
どんな題材も切り口とテクニックで生まれ変わるのだな。
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