★★★☆☆
~ロッキーシリーズ第七作目!~
題名や宣伝を見てもほとんど分からないが、この作品はシルベスター・スタローンの「ロッキー」シリーズのスピンオフ(といっているが、七作目の続編といって良かろう)である。なぜこの点を強く喧伝しないのが不思議だが、前作(シリーズ六作目)評価が低いと言われていることが原因なのだろうか。
ロッキーシリーズで「クリード」という題名なら、ファンならピンとくるかも知れない。一作目から四作目まで登場し、ある時はライバル、ある時は盟友としてロッキーと深く関わった偉大なチャンピオンがアポロ・クリード。そして彼は四作目でリング上での死を迎えている。――ということは……。
クリードの主人公はアポロの愛人の子供であり、唯一の血族アドニス。出会うこともなかった父の背中を追ってボクシングの世界に入ろうとする彼は近しい者たちからそれを拒絶される。アドニスが最後にたどり着いたのがロッキー・バルモア。
はじめは師事を断るが、その熱意に負け、またボクシングに関わる喜びを思いだしていくロッキー。
アドニスと同じアパートで音楽の夢を追うビアンカとの出会い。ロッキーが立ち向かうリングの外側での戦い。
二人の「いわくつき」師弟のボクシングに世間は好奇の目を向け、やがてとんでもない大きな話が転がり込んでくる――。
物語は一作目をなぞるように進むが、ただ繰り返しているのでもなければ、無理矢理独自性を打ち立てようとしているのでもない。一作目の物語を今もう一度描くとしたらこうなるという答えが示されている感じ。そもそも、それさえ流れればロッキーというあの「ロッキーのテーマ」が流れないのだ。それなのに同じような昂揚を感じる事ができる。
主人公であるアドニスの短絡的な素直さは魅力的で、自然と応援したくなる。ロッキーの後継者としてするっと収まってくれるのも気持ちが良い。ロッキーも年老いながらチャレンジスピリッツを失わず、変わらず戦い続けているのが嬉しい。エイドリアンに対する愛情もそのままなのがまたロッキーらしい。
ロッキー一作目を楽しめた人は、つまり多くの人は、この作品を楽しむことができる。
四作目まで復習してから見るとなおさら楽しめるだろう。
三作目のラストで静止した、あのアポロとの第三戦についても言及があり、さらっと語られるだけだがそれがまた良い。
ただその言及が本当なのかどうかについては、自分は多少の揺らぎを感じる。
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