2011年1月23日日曜日

アイアンマン2

★★★☆☆
~おっさんヒーロー再び~

軍需産業の社長が、自ら開発したパワードスーツを身にまとい、世にはびこる悪漢をなぎ倒す。
セレブにして、天才発明家。嫌みになりそうな設定が苦もなく受け入れられるのは、突発的な行動により実生活が破綻気味なのと、ロバート・ダウニー・ジュニアの捨て猫のようなつぶらな瞳によるものだろう。最近同じようなことを書いたのでは? と思い起こしてみれば、同じくロバート・ダウニー・ジュニア主演のシャーロック・ホームズだった。あれも似たようなキャラクターだ。とんちきな天才、という役が彼にははまるのかも知れない。アインシュタインの役などあれば、ぴったりかも。

それにしても、矛盾具合がすさまじい。
一作目も二作目も、彼が戦う相手は結局軍需産業だ。
兵器を作って身にまとい、別の兵器と戦う。実は敵自体、アイアンマンという存在が伝播して生まれたようなもので、自分で原因を作っては自分で解決するという、ノートン先生のような自作自演のきらいがある。
ただ観ていてそのようなことは気にならない。アクロバティックな空中戦よろしく、疑問にぶつからずうまくすり抜けていく。
この映画はやはり、その時々の状況を反射的に楽しむのがよい。
アイアンマンの圧倒的な重量感。それでいて生物的になめらかな動き。超絶な力がコンパクトにパッケージングされた秘密兵器的なテイスト。男の子が好きな、変身、超合金、秘密兵器といった要素を一身に持ち合わせ、なるほど、おっさん心をつかんで離さないわけだ。

一作目は確立したアイアンマンのイメージでまるまる楽しめた。かっけー! と叫ぶ間に終わっていた感じ。二作目にはそれに上乗せする魅力が期待されたが、前作並という印象。アタッシュケースサイズのポータブルアイアンマンにしびれたぐらいだろうか。
かといって全編見所だらけで楽しめることに違いはなく、ヒーローにあこがれたあの日のときめきを思い出すことができる。

肉弾戦をいとわず、決して無敵でもない。
スーツもいつもボロボロになる。
えらい目に合いながらも、ひょうひょうと困難に立ち向かっていくヒーロー像は、潔癖でも汚濁でもなく、曖昧な我々に実にしっくりとくる。

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