★★☆☆☆
~ホラーではない~
実話を元に描かれたホラー映画。といった売り込み文句だが、ホラー映画ではない。ホラーのエポックメイキング「エクソシスト」の悪魔が去ったその後の話、と考えた方がよいだろう。ただ、エクソシストと異なり、少女は死に、牧師が生き残った後だ。
残された牧師は、少女を死に至らしめた責任を追求され、法廷へ。そこで裁かれることとなるのは……、
神や悪魔の実在について。
この禁断とも言える題材に真っ向から取り組んでいる姿勢が気持ちよい。
宗教と科学、どちらの立場も双方の主観を尊重して描かれており、見終わった後も公平な感触が残る。つまり、事の判断は映画を見たものに委ねられている。
理性と感性の狭間に揺れる物語は、神秘的な存在を定義づけようとすると同時に、あやふやな人間存在や、社会が抱え込む矛盾点にも光を当てる。
賢明であろうとする無知な存在。
スクリーンの向こうにそういった人間像が浮かび上がる。
全般に楽しむことが出来たが、金と名誉のためにこじつけ論理で敵を排していく弁護士がどうにも好きになれない。作品内ではしがらみを脱して利益だけではなくなっていく人物として描かれているが、この部分だけがとてつもなく胡散臭かった。
妄言を弄し、真実をたばかろうとする弁護士こそ現代の悪魔なのではないか。
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