2010年4月21日水曜日

ハートロッカー

ハート・ロッカー Blu-ray 

☆☆☆☆
~米国国内向けの映画~

 中東の紛争地域に投入された爆弾処理班の任務を追う、ドキュメントタッチのフィクション。

 自分の国が戦地で行っている活動、という前提でないと評価できない作品ではないかと思う。実際3D映画の新時代を切り開いた「アバター」を押さえてアカデミー作品賞を受賞したが、それに納得する日本人は少ないだろう。 

 描かれている世界との距離感が重要な作品要素なのだ。例えば、日本の時代劇や原爆関連映画。ふだんの生活で染み着いている文化的な基礎が作品鑑賞に大きく影響する。

 そういったわけで中東情勢を情報としては聞いているが肌身に感じていない自分にとって、物語にもなれずノンフィクションにもなれない中途半端な作品としかみることが出来ない。興味を持続することが出来ない。一言でいえば、おもしろくないのだ。 

 テレビのCMでは自己犠牲の感動大作のように見えるが、実際はその逆。戦争中毒の主人公の葛藤をそれとなく見せるだけの、温度の低い問題提議映画。アルコール依存症の雇われマスターの日常と言えば雰囲気が伝わるだろうか。

 いずれにせよ2010年(2009年の作品)のアカデミー賞は、これまでのアカデミー賞でたびたびあったように、主要な賞を受賞した作品が歴史に残らず消え去っていき、とれなかった作品がずっと人の心に、映画の歴史に名を残していくという事になるだろう。

 

 

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