2009年8月11日火曜日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

Evangelion: 1.11 You Are (Not) Alone [Italian Edition]
★★☆☆☆
~マイナーチェンジ~

 一時代を築いたアニメーションの一大記念碑的作品「エヴァンゲリオン」。それを四部作に分けて再度新規作成するという壮大な企画の第一作。
 果たして前向きなのか、後ろ向きなのか。

 かなりの急ぎ足で旧版の展開をなぞっていくダイジェスト作品。前情報無くこれを見て、話を理解できるのかどうかが心配になってしまう。旧作を見ている人がターゲットということだろう。横綱相撲というか、超弩級の実績をもつコンテンツだからこそとれる手法だ。

 見た印象は良くも悪くも旧版と変わらない。ただやはり、幾何学使徒のイメージは大きく拡張され次世代感を感じさせてくれる。それがほぼ終劇あたりなので、見終わったときの満足感も余韻もそれなりにある。

 その他気がつくのは、テレビで見たのと同じシーンが多いという点。
 もともと「再構成」を強く押し出していたので、額面通り、嘘偽りがないのだが、同じレイアウトから描き起こしたという割には大したこと無いなあと感じた。が、後にテレビ版を見直してみて驚く。

 テレビ版のクオリティの乱れが目について仕方がないのである。

 当時はテレビ放送されているアニメとは思えないクオリティと安定度にしびれたものだが、再見の印象は(変わらずおもしろい作品だが)20年近く前のアニメーション、という言葉通りの物であった。
 そうしてみると、変わらないなと思った新劇場版のそれぞれのシーン、の完成度は確実に向上し、不安感無く鑑賞できるよう整理整頓されていたと思い知る。記憶の中で思い出が美化されるように、エヴァンゲリオンも記憶の中で詳細が消え去り、すばらしいと感じた印象だけが残っていた。その印象に対抗して「変わらないな」という感想を引き出した今作は、まさに再構築という仕事について非の打ち所のない結果を出したことになるだろう。

 この後、テレビ版とは異なる筋書きに突入していくとのことだが、それが本当ならこれは素直に楽しみだ。次作が同様の再構築に過ぎなかったとしても、それはそれで楽しみだ。
 ただ再構成に過ぎないのだとすると、求心力のない、懐古趣味的作品となってしまうだろう。一線級スタッフの時間と魂の消費をいささかもったいないと感じてしまうことになるのではと危惧を薄く投げる。

 

 

 Qの感想は当時ショッキングすぎて書けなかったのだ……。今なら書けるかな。

◆四部作の二作目『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の自分の感想はこちら

 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.(通常版) [Blu-ray]
★★★★

~魂の成長へ~

◆四部作の最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』の自分の感想はこちら


★★★★★
~一緒に変わってきてくれた~

 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿