2014年6月14日土曜日

ドラゴンタトゥーの女



★★★★
~キャラクターの魅力~


 デビッド・リンチ監督作品。スウェーデンのベストセラー小説を原作にした現代風探偵映画。

 劇場で流れていた予告編が全く説明的でなく、リズムに乗せてカットが切り替わっていくだけというもの。セリフもないのに圧倒的に記憶に残る。
 全編に垂れ込める陰鬱な空気と屋外、屋内関係のない閉塞感。嫌が応にも監督の出世作「セブン」を思い起こさせる。
 ダンディーな記者、そして理解されがたい趣味と、暗い生い立ちを持つ少女が一つの事件解決に協力。それぞれのスタイルで真相に迫りつつ、二人の距離が近づいていく。
 実際、事件の内容や仕組みについてより、登場人物に楽しみを見いだす映画だと思う。特に少女については、当初嫌悪さえ感じた印象が、一途さや筋を通すスタイルに触れてどんどんと魅力的に感じられ、最後には男をわき目に少女の動向に気を引かれるようになる。

 原作小説は三部まで公開された後、原作者死去によって続巻は不可能となっているが、草稿が残っているという情報もあり何らかの形で継続するかもしれない。
 だがその前に、まずは三部までをきちんと映画化して欲しいが、どうなることだろうか。テレビ映画版はDVD化されてそこそこ評判も良いようなので、物語を早く映像で見たい場合はそちらに流れるのも一つの手だろう。

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