2009年5月17日日曜日

ハリーポッターと不死鳥の騎士団


★★☆☆☆
~つなぎの一作~

良く解釈して、次回作へのつなぎ。物語全体における「ため」の部分。
これ一作では、どうにも魅力に乏しい二時間。

宣伝では魔法大戦争みたいなアピールをしていたが、戦闘は非常に小規模で期待を満足させることのできる内容ではない。
また、キャラクターの心情の流れに不合理を感じる場面が多く、誰に感情移入したもんやら常に迷う。
大人の行動が短絡で子供っぽいため、子供達の子供たる所以の大胆さが埋没する。
絵的な見せ場も少なく、前作の絢爛豪華と比べると明らかに見劣りする。

……などなどあるが、こういった不満はこれまでのシリーズ作品にもあった、それこそお約束のようなものだ。これは、原作が児童小説であるためなのは当然として、かなり私見だが、つじつまを気にしないイギリス系おとぎ話が基本ラインであるためだと思っている。

今回一番きつかったのは、シリアスすぎることだ。
ハリーポッターは、おとぎの国の、不思議なディティールを、アイデアを、その世界観を楽しむ作品だと思う。
その点で、今作の魅力は薄い。変わりに大きな比重を持つのが、ポッターの深い悩みである。
これまでとこれからをつなぐため、腹をくくる過程が描かれている(と思う)のだが、全編その雰囲気に支配され、心から喜ぶシーンは皆無と言っていい。
それを今作内で解消することなく終わるため、後味はひどく陰鬱なものとなる。

子供達が目を輝かせて劇場に入ったあと、うつむいて出てくるような気がしてならないのだ。

まあしかしそれも、次作次第だろう。ここまで長いシリーズで、すべてがクライマックスであることは難しい。従って今作が次作のための「ため」なのだと信じて、楽しみに待つことにする。

それはそうと、今作内では二次創作的においしい展開が大量にあるため、同人云々いわずとも、それぞれの時点で今後どうなるだろう、と想像しながら見ると、より楽しむことが出来ると思う。

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