2019年9月12日木曜日

青春豚野郎はバニーガール先輩の夢を見ない

★★★☆☆
〜各種SF詰め合わせ〜

鴨志田一の同名小説を原作としたワンクールのテレビアニメ。
高校生男子が周囲の女性に発症する超常的問題に立ち向かっていく。

まず主人公の枯れ具合がすごい
よい大人である作者が、自分が若い頃に夢見ていたシチュエーションで言いたかった台詞をどんどん吐き出してる感じ。
他のラノベ主人公と違い、比較的自制心があり、無自覚な好意をまきちらさない。ややこしい状況になっても自分で片をつけようとするなど、おっさんならではの節度節制が見えるので感情移入しやすい。

数話ごとに異なるSFネタを柱に据え、それらをまとめるキーワードとして青少年特有の思春期症候群という超常的病気をかましている。
SF要素としては

・人の認識、記憶から徐々に消えていく少女
・少女の願いに応じて閉鎖し、同じ日付をループする世界
・感情のアンビバレントにより実際に二人に分裂してしまった少女
・姉妹の精神の入れ替わり
・眠りについたもとの人格と、代わりに生まれた人格の二者択一  

本来異なるSF要素を一つにまとめて展開していくというのは「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズに似ているかも知れない。
一つのネタで引っ張りすぎることなく、テンポ良く物語が進んでいくのは気持ちが良い。

全編通した謎は最終回でも残り続け、それは劇場版で、という昨今散見する形式で幕を閉じるが、追加エピソードという感じなので残尿感はない。
演出も画面も安定しており、濫造されているラノベアニメから頭一つ抜け出していると思う。

2019年9月11日水曜日

カリギュラ


☆☆☆☆
~無修正の中二感~

ゲームを原作としたワンクールのアニメ。
早々に世界の秘密、設定が説明されるので、この後どうするのだろうと反対に興味が強まった。

  • 意味深で意味不明な一人語り
  • 周りに合わせず個人のおもむくままに話し続ける
  • なにがしか傷を負って、それに苦しみながらも戦う姿勢
  • その苦しみが努力に置き換えられ、具体的な努力はしなくても特別な能力を身につける
  • 体のどこかを極端に大きくすることで強さ、かっこうよさを求める
  • デザインの一部にはかない要素を加えてワンポイントにする。例えば戦闘態勢なのに花飾り

上記のようないわゆる中二病的な要素を惜しげも無く投入し、それを茶化さずまっすぐに全編突っ走る。
当然かつて中二病患者であった自分は枕に頭突っ込んで叫びたくなる。

終盤にどんでん返しほどでは無いが、物語上の大きな(そのつもりなのだろう……)トリックが披露されるが、見せ方のせいか意味が分からない
手品師が右手にコインを包んで、左手を開くとコインが無い。また右手を開くとコインがある。どうだ! という感じ。   
これも中二病的なので、反対にゴクリとつばを飲みこんで鳥肌が立つ感じ。

「カリギュラ」とは、禁止されるほどやってみたくなる心理現象のこと(ウィキペディアより)らしいのでこの作品の名前としてふさわしいのかも。 
かつての中二病患者(治っているのか?)にとって恐い物見たさというか、オバケ屋敷的な作品

中二病でも恋がしたい!


★★☆☆☆
~動画としての出来が良い~  

小説を原作としたラブコメ。

中二病からの脱却を目指して高校入学した主人公は、いまだ中二病まっただ中のヒロインの中二活動に巻き込まれてしまう。
目指していたのとは異なる学生生活を送りながら、彼女も出来たしオタク友達も出来たしよかったね……。という内容。

こざかしい理屈をこねてごっこ遊びをするだけの内容だが、アニメとしての出来が良い
演出、作画などの水準が高く、物語とは関係なく、見て楽しむことが出来る。
とくに中二病イメージを可視化して展開するダイナミックな戦闘シーンは、これ主体でバトル物に出来そうなクオリティ。
しかし物語としてはたいした意味の無いお楽しみシーンでしか無く、心に残る物は少ない。
実写版「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の実写部分とCG部分と言えばその断絶具合も分かろう。

果たして、見てから数ヶ月で物語や登場人物の多くが記憶から消えており、続編や映画版もあるようだが、特に食指も動かない。
即物的なアニメの楽しみ以外を求めてはならない工業製品としての名品

2019年9月10日火曜日

ヲタクに恋は難しい


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★★★☆☆
~オープニングアニメーションがとても良い~

「ふじた」の漫画を原作としたアニメーション。
様々な嗜好を持つ四人のオタクが繰り広げる恋愛模様。四人は同じ会社の同じ部署。
恋愛模様と言っても、組み合わせの変動や気持ちの疎通でごちゃごちゃすることはなく、第一話でカップル確定。
以降はその枠内での不器用なやり取りを、オタク友達として眺めているような感じ。

端々にオタク知識を前提としてやり取りが含まれており、主な魅力はそこになっている。
つまり、オタクじゃないと面白みが減じるが、そもそも自分含めてオタクにはそれさえ想像できない。
というか、私だけ分かる感、つまりオタクレベルの選民思想を刺激されて悦に入る事ができる
この作品を読む人のほとんどはそういった層なのだろう。

話としては進展が無いので、各人のキャラクター性を楽しむ作品となる。
作り話なので当たり前だが、オタクだけれど四人は美男美女。
なので、そこに違和感があると言えばあるが、別に不細工のがんばり見ても仕方ないし。

※最近ハリウッド中心に美人規制が進んでいるように感じる。 
これは間違っている。映画は作り話で、おとぎ話で、想像で楽しむ物なのに。
特筆すべき物としては「スターウォーズ8」がきっついことになってる。
※その意味では「げんしけん」はオタク人種が本当に見かけを気にしない半端な容姿なのですごい。
自分の姿が見えてもだえるけど。

演出や作画は高いレベルで安定している。
まんが由来かどうかは不明だが、背景を幾何学模様で処理するシーンが多く、これが浮つくことなくしっかり定着している。
きちんと作劇的な意図をもったデザインになっており、BGMのようにシーンの雰囲気を構築する素材となっている。
これはすごいと思う。

OPのアニメーションも昨今まれに見る傑出具合。
上述の高いデザイン性の中、切れの良いアニメーションが展開。
「パラパラ」の様な手踊りのシーンは、手話のように意図が伝わってくる。
このOPだけでも多くの人に見て欲しいなと思う。

されど罪人は竜と踊る Dances with the Dragons


☆☆☆☆
~無責任な産業廃棄物~  

以前映像作品の根本的なレベル分けについて、以下のように書いてみたことがある。

  <レベル外>
・何が描かれているのか分からない
どういう出来事が起きているのか分からない。
<レベル1>
・何が起こっているのかが分かる
どういう出来事が起こっているのかが分かる。
<レベル2>
・映像が安定している
絵柄、動きが整っており、鑑賞するのに気にならない。
・構図がとれている
構図が整っており、出来事が分かりやすく描かれている。
<レベル3>
・映像が魅力的
絵柄、動きが魅力的。
・構図がすぐれている
構図が緩急効いており、魅力的。
<レベル4>
・映像が物語と相乗効果を生んでいる
魅力的な映像が、言葉では表現できない情報を描き出し、物語を奥行きあるものとしている。
・構図が物語と相乗効果を生んでいる
構図が物語の意味を強調、補佐し、情感を加えている。

今作は紛れもない<レベル外>だった。

「浅井ラボ」氏の小説を原作としたワンクールの深夜アニメ。
昨今当たり前のように、伏線などの回収のないまま12話で終了。続編の話は現在聞こえない。

科学解釈の魔法で戦う二人組が、国同士の軋轢にすりつぶされていく人々を目撃していく物語。
個人ではどうしようも無い悲劇に巻き込まれた人々がテーマの一つなのかと思うが、その悲劇具合が分からない
そもそも複雑な国の関係を説明なしのまま進めるので、誰がどの勢力なのかが分からないのだ。
なので悲劇と言うよりただの残酷で、その表現が拙ければバカバカしい喜劇になる。
 
残念ながらこの作品はバカバカしい喜劇になっている。

国関係も問題だが、時系列もよく分からない。回想なのか現在の事なのかが不明なのでつじつまが合っていないように感じるのだ。
意味不明の複雑さは視聴者を置き去りにして、がんばっているキャラクターを冷静な目で見させてしまう。
じつにバカバカしい。

原作は出版社を変えながらも20巻以上続いている息の長い作品なので、アニメには無い魅力を持っているのだろうと思う。
とすると、アニメ化が失敗であり、そして、原作もバカバカしい内容に違いないと感じてしまう現状は、メディアミックスとしても失敗だろう。
この作品で幸せになれた人はいないのではないかと思う。

なぜこの作品を最後まで見たのかは、ひとえにあまりに意味不明だったため
話数をつないでも何も意味が分からないという点に興味を引かれ続けてしまったのだ。
もっと分かりやすい内容だったら、そうそうに見るのをやめてしまっただろうと思うと、この作劇クオリティの低さが視聴継続させたと言える。
しかしそれは世の中に不幸をまき散らすだけの力なので、まさしく「悪」であろう。
この感想の締めとしては、良くあるように引いた視点で一般化するのが相応しいと思う。

「大きな力の軋轢にすりつぶされる人々とは、このアニメ作成に関わった人々と、そして視聴したあなたなのだ」

デスマーチからはじまる異世界狂想曲


☆☆☆☆
~キャバクラアニメ~

「愛七ひろ」の小説を原作とした深夜アニメ。
ゲーム開発のプログラマーである主人公がマスターアップのために泊まり込みを続けて一段落。
会社の床に寝て起きたら異世界という展開。
細かい違いはあるのだろうが、後は以下の定形を外すことなく展開。
・初めから強い
・苦労せずにトンでも無い成果を得る
・ひたすら女性に優しくすることによって好意を得る
・ハーレムを築く
・話数がつきたらおしまい
またか、という思いは強いが、ともかくちやほやされるキャバクラアニメとして整っている。
それ以上を望むものでは無いだろう。1.2~1.5倍速で見る分には大きなストレスは無い。
所々小気味よく動くアニメの出来に感心するが、それ以上にげんなりする部分も多く、波があることでマイナスの印象が強くなる。
ともかく特段見るべき作品では無いと思う。
実際、数日すると他の作品と混ざって分からなくなってしまうだろう。

しかし、これらキャバクラアニメは、どうして一切の努力や挫折を排除するのだろう。
楽しい事だけを数珠つなぎにするのだろう。

物語として辛い展開を入れると、それをバネにして立ち上がる流れに乗せるのに、かなりの段取りが必要となる。
つまり、物語を作るのに、事前の計画と、辛い部分を過ごすこらえ性が必要となるのだ。
いわゆるネット連載小説。自主的に連載を開始する「なろう系」小説は、毎日な更新を続けることが重要だという。
想像し得る限りの気持ちの良い出来事を羅列することが基本なのだろうか。
それは見通しの悪い、近視眼的な展開を記述することになるのかも知れない。

一つ思うのは、こんな砂糖菓子アニメばかりだと、作っている方も食べる方も体に悪いだろうということ。